赤い帝国・中国は滅びゆくのか?
習近平の長期独裁体制を阻むもの
中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」
つまり習近平がこれまでの共産党集団指導体制を崩して、自分が長期政権に就く独裁体制をつくろうとしているということである。習近平が集団指導体制の政治局常務委員制度と68歳引退という不文律を廃止し、自分の長期政権をつくろうとしていることはかねてから香港メディアも報じていたし、私も党中央に近い知識人、メディア関係者たちから聞き及んでいる。
だが、習近平が長期独裁体制を敷くために最低限必要な軍権の掌握とメディアの掌握ができているかというと、2016年秋の段階では、まだできていない。そして習近平が8月に打ち出した「共産主義青年団改革」プランは、政敵である団派の母体組織の影響力をそぐことが目的の権力闘争だが、これを実行するにあたり、おそらく李克強はじめ団派の政治家および官僚組織の強い抵抗を受けるだろう。
こうした権力闘争の激化の末、2017年秋の人事で習近平が総書記の座を追われる可能性もゼロではないと考えている。少なくとも習近平の独裁体制確立を阻止しようという党内アンチ習近平派がこのまま黙っていないのではないだろうか。
※福島香織著新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』重版出来記念、緊急集中連載。
著者略歴
福島香織(ふくしま・かおり)
1967年、奈良県生まれ。大阪大学文学部卒業後、産経新聞社大阪本社に入社。1998年上海・復旦大学に1年間語学留学。2001年に香港支局長、2002年春より2008年秋まで中国総局特派員として北京に駐在。2009年11月末に退社後、フリー記者として取材、執筆を開始する。テーマは「中国という国の内幕の解剖」。社会、文化、政治、経済など多角的な取材を通じて〝近くて遠い国の大国〟との付き合い方を考える。日経ビジネスオンラインで中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス、月刊「Hanada」誌上で「現代中国残酷物語」を連載している。TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」水曜ニュースクリップにレギュラー出演中。著書に『潜入ルポ!中国の女』、『中国「反日デモ」の深層』、『現代中国悪女列伝』、『本当は日本が大好きな中国人』、『権力闘争がわかれば中国がわかる』など。最新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』(KKベストセラーズ)が発売即重版、好評発売中。
- 1
- 2